2018年10月10日

愛媛県庁・高知県梼原町への旅(その2)



最初に着いたのは梼原役場庁舎だった。緑の山々を背景に木とガラスがグリッド状

に嵌め込まれているこれまで見たことのないデザインだ。中に入ると4本の杉柱で

一本となる組柱と杉の集成材を格子上に組み合わせた重ね梁で吹き抜け空間を作っている。

床は杉の縁甲板だ。柔らかい杉を圧縮させることで耐磨耗性があるものになっている。

日頃のメンテが行き届いているせいか艶があり、全体として美しい木の空間になっている。

この床は、その後見た隈研吾建築の全てに使われている。驚いたのは建物前面が全て開くことだ。

飛行機の格納庫に使われる大型スライディングドアが使われている。開けると中外一体の空間が現れる

。案内してくれた入交さんによれば、年数回はイベント時に開けて使われるとのこと。

事務机も木、9割を森林が占め杉材の産地檮原のこだわりがみごとに表現されている。

少しずつ難点もあるようだ、窓が開閉しないから風の流れがないことを町長は言っていた。

この日は隈研吾氏が初めてこの町での作品である「雲の上のホテル」に泊まった。

こちらは平成6年の建物だ。今のスタイルとはだいぶ異なり、まだ氏が一般の人には知られていない頃のものだ。

その後あまり手を入れていないせいかくたびれ感は隠せない、それよりも谷を越えて日帰り温泉に繋がる通路が凄い

。雲の上のギャラリーと総称されるホテルから温泉に移動する渡り廊下棟、ギャラリー棟、ブリッジ棟からなる。

特にブリッジ棟は度肝を抜く。枝葉が広がる一本の木をイメージしてから柱一本から斗供と呼ばれる寺でよく見られる

軒を支える構造をここでは採用している。木を単なる表層デザインではなくダイナミックに構造体として使っていくのが

氏の真骨頂かと思う。ギャラリーは町内にある隈研吾作品をパネルで紹介していた。町内には現在6つの建築がある。

1994年から今年2018年までの間に建てたものだ。(つづく)



  


Posted by Qさん 大魔人 at 22:11Comments(0)