2018年02月22日
小山町北郷放課後児童クラブのお話






今は亡き両親は共働きであったため、小学校低学年の時は我が家にお手伝いさんがいたが、その後に倒産を経験した我が家
には学校を追えて家に帰っても妹と二人で誰もいなかった。当時鍵っ子なんて言葉があった。もっとも、家に鍵はかかっていなかったけどね。
今では共働きの家庭は当たり前、兄弟も少ない祖父母との同居も少ないから、学校終えて待っていてくれるのが今は放課後児童クラブだ。
小山町の北郷地区の放課後児童クラブは役場支所が併設するコミュニティセンターの中に設けられている。面倒を見るのは年配の人が多いし、外で遊ぶスペースもないから中での遊びそして宿題こなすことが多くなる。それも狭いスペースで。町長はもっとのびのび子供たちを遊ばせたい。
ならば、いっそ小学校の空き教室に持っていき、放課後はグランドも使ってせいせい遊べばよいと言った。
でも、学校側から「空き教室ではない、使っている。児童クラブ部分を学校とゾーニングがうまくできない。迎えに来る父兄の車の駐車スペースが無い」等ムリムリの反論の嵐となった。
「いっそ校庭の片隅に建てましょうか?」モタモタ感に業を煮やした町長から、「可能なら、そうしよう」と言うことになり、年度当初に計画に無いから六月に補正予算を確保と同時に補助金申請もし、建設に向け急遽スタートを切ることになった。
基本プランを立てる時に北側がグランドに面しているけど無視して、出入り可能なテラス付き掃き出し窓を南側に設け落ち着いた庭を設けようとした。でも北側に見える丹沢山系の山並みは美しい、これを見せねばと言うことになり、南北に大きな開口部を持つ建築となった。
「大黒柱に木をそのまま使い枝の根元を残し、木登りをできるようにしたら」と言ったら、子供たちの面倒見ている口うるさいおばちゃんから、
「登った子どもが落ちて腕折ったりするから、絶対止めて!」「うーん だんだん面白くなくなってくるなぁ」と思いつつも従った。
小山町は学校ごとの給食づくり、5歳からの料理体験など食育が盛んだ。そこで、アイランドキッチンを設け子供も一緒におやつづくりができるようにした。
60人分のロッカーと下駄箱の配置には苦労した。室内の壁全面がロッカーになってしまう。
一計を案じ、ロッカー室は別室に、下駄箱は極限に間仕切りを薄くし、収納させた。建築は心配りとデザインが勝負だ。満足できる建築となった。
先日は補助金を出す県職員の検査があった。仕事の過程と工事のチェックの仕方、申請通りの建築ができているかの検査だった。坪単価80万円が高いと言う。
アプローチ階段、設計料込みの値段だ。根拠はと言われたので、だいたいの見込みと予算内で最高のものを作ることに腐心したものであって、
他にある屁でもない事例は参考にしていないと言い切った。60人もの子がほぼ毎日使う空間が、素敵な気の入った建築であれば、
この子達にきっといい影響を与えるものと思っている。他の市町は補助金の範囲でプレファブ的な建築をしているとのこと。
「勝った‼子育て支援に真剣な小山町にどうぞ」と胸張って言いたい。(おしまい)
Posted by Qさん 大魔人 at
22:16
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2018年02月20日
小山町子育て支援センター「金太郎ひろば」のおまけ





そもそも子育て支援センター事業の始まりが面白い
教育委員会からは建設への要望が出されていたが予算不足を理由に延期してきたのだが、
期待の星「ふるさと納税」のこともあって町長が、「29年度に完成するようであれば予算は付ける」と言い、
担当らは「え、基本計画つくって設計して、完成には早くても2年あるいは3年はかかりますよ」
町長は「なら、いい。やめるか?まちづくり専門監どうだ?」
「え、300㎡にも満たない程度の建築なんぞ、1年もあれば十分に決まってるじゃないですか!」
計画なんて改めて立てなくたって、目標利用人数からの規模、求める使い勝手・デザインぐらいイメージできる。
○○検討委員会なんて不要。具体のたたき台の絵で現場、担当者を集めて膝詰めで検討すれば
プランは収束していく。
設計者の久保さんから先に皆様方に送った写真ではなく、こちらを国内外に配信してと言われましたので、おまけの話をつけて
送ります。氏のコスト感、デザイン性、気配りの設計に救われます。
次回は「放課後児童クラブ」の話をします。(おしまい)
Posted by Qさん 大魔人 at
21:57
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2018年02月16日
小山町子育て支援センター「金太郎ひろば」のお話






昨日インフルエンザB型の診断を受け、自宅謹慎中です。
微熱と口の中が不味いこと、鼻水が出ることが今の症状です。
単身でいるので、知合い達が食料や飲み物、果物、マスクを届けてくださり
自宅謹慎も悪くは無いなと思いつつ、今年度手がけた建築のことを書いています。
小山町は毎年200人程人口が減り1.9万人を割っている。隣には8.8万人の御殿場市があり利便性の高いこともあって、流出しやすい状況にある。
生まれてくる子が少なくて、それも子育て環境が悪いからと、またまた出ていってしまう。企業、リゾート、ホテル立地が目白押しではあるが、住むのは別と言われたは悲しい。
そこで、かねてから課題となっていた乳幼児とママが寄り合う子育て支援センターのことだ。今は文化会館の二部屋を間借りしていることもあって毎日は開いていない。
専用施設ではないから使い勝手もよろしくない。
このところのふるさと納税の快進撃で懐具合もよろしくなってきたこと、そして何より地方創生で国の半額補助が得られることになり、
この機を逃してはと今年度予算に急遽入れ込んだ。
昨年4月には設計施工のプロポーザルを予算8千万円平屋建て延床260㎡程度、配置、平面は別添の計画図を参照のこととし公表した。
臼幸産業が施工、設計は久保剛司さんに決定した。
実施設計は済んでいないから、これからの調整が一苦労だ。要求水準という仕様を細かく書き込んだプロポーザルならよろしいのだが、
想定外の現場の声に難儀する。
今回は冷房の注文に手を焼いた。天井扇があるからいいじゃないか、小山の夏はそれほど暑くないし、は小生の考え。でもここは譲った。
工事金額は決まっているから中で捻出しなくてはならない。
床暖房を少しまばらにして、設備業者の言う必要エアコンの量を半分にして設けることにした。そもそも設備屋は安全を見過ぎている。
小山フィルムファクトリーの冷房も半分にしたが、苦情は無かった。
何とか夏前に着手し、このほど完成した。4分の1の円形プラン、トップライト、中に仕込んだランプで夜は外を照す常夜灯の役割を持つ。
カフェスペースも設け、ママたちのコミュニケーションの場とした。授乳室、相談室も用意されている。外遊びができるように深くて天窓がついた大軒を設けた。
アールの軒先につけた樋を見ると施工の大変さが見てとれる。内部も壁と天井のアールに苦労がある。
軒下には水遊び場、床はゴムチップで子供たちのはしゃぐ姿が目に浮かぶ。軒下の柱の色を変えたのが効いている。
楽しい雰囲気を出している。
ママさんたちに、「この子育て支援センター「金太郎ひろば」があるから、小山町で楽しく子育てができた」と言われれば、施設の計画をした者とすれば本望だ。
Posted by Qさん 大魔人 at
12:06
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2018年02月13日
小山町の新町営住宅




小山町に赴任することが決まったときに県の住宅担当課長が訪ねてきて「小山町で宅地分譲を予定している、
そこに県が進めている家・庭一体の住宅地づくりを導入して欲しい」と言った。
どうも役場の担当者がその気がなく手を子招いている様子だった。
赴任後、早速南藤曲に行ってみると三階建ての町営住宅がポツンと建っていた。
この手の共同住宅を4棟程度建てる計画だったが凍結状況だった。
業を煮やした町長から戸建て分譲地にするようにと指示が出ていた。
担当者は代わり、これまでにない住宅地開発に意欲を持っていた。
早速に家・庭一体の住宅地のイメージ図を元に設計施工で仕事を出すことになった。
結果生まれたのが「クルドサック16」だ。公園の中の住宅が建つイメージ通りの家並みができている。
残るは一棟分の町営住宅用地だ。十年も前に書いたRC造3階建ての設計図は色褪せていた。
「いっそう木造でつくろう。戸数は少し減るけど建設費は確実に安くなる。メゾネットのテラスハウス、
中庭をコミュニケーションを育む場として設ける。ここに住むことが憧れになるレベルのものをね。」
設計施工を請け負った臼幸産業が、デザインと心遣いが随所にみられる素敵な住宅をつくってくれた。
中庭には秦野市から林業を通じた交流の記念として贈られた「友情」の花言葉を持つヤマボウシが植えられた。
おかげで人気はとても高く、募集後すぐに満室、14戸は子育て世帯13、町外からは5世帯が移り住んでくることになった。
嬉しい限りだ。また、次の計画が待っている。町の人口減に歯止めがかかれば本望だ。
Posted by Qさん 大魔人 at
22:16
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