2021年10月06日
令和3年2月: 南足柄市と富士フィルム(その3)
何をやったかの前に、本のカバーにある古森会長の写真を見ると相当に迫力がある。睨まれたらびびり上がりそうだ。
氏は1939年満州に生まれている。死に物狂いでの引き揚げ体験から、国が戦争に負けることの惨めさ、
負けることの悲惨さ悔しさから自分が真の実力をつけなくてはならないと考えるようになったと語っている。
そして東大、強い体を作らなければとアメフトに。世界文学全集も読破。まさにマッスルエリートだ。
こりゃ叶わないなと思わざるを得ない。胆力、知力、体力全て備えた氏が社長になったのが2000年、
まさに大転換点、正しい決断をし続けていったことが第二の創業を成し遂げた富士フィルムの今の姿であろう。
反対に身近では首長が変わって、ちょっとの間で羨望の眼差しで見られていた小山町が体たらくな様に堕ちた姿
を見ているからトップの差は怖い。では、何をされたかに話を戻そう。
フィルムの敵であるデジカメ開発にいち早く着手し、ファインピクス700を世に出し世界シェア30%を叩き出す。
今やデジカメはスマホに代わられ、その変化の早さを改めて感じずにはおられない。「勝てる事業ではなく勝ち続けら
れる事業を選ぶ。外部のコンサルの意見など信用するな自分達でかんがえろ」で最終的に選んだ事業領域はデジタル
イメージング、光学デバイス、高機能材料、ドキュメント、メディカルライフサイエンスと書かれているがいずれも
B to
B事業だからピンとこない。それよりも化粧品になぜとは皆が思うことではないか?写真フィルムと化粧品には
共通点が多いと言うのだ。フィルムの主な原料はゼラチン、つまりコラーゲンだ。人の皮膚も70%がコラーゲンで
構成されている。そして肌が老化するのは、酸化作用が働くからであり、写真が色褪せていくのも酸化作用が働く
からである。どんな物質を与えれば老化が防げるかのノウハウはお手のものだ。こうしてアンチエイジングの化粧品アスタリフトを生んでいる。
そして、子会社化した富山化学工業が産み出したコロナ感染治療薬のアビガンが注目された。2008年に買収し医薬品事業に参入し、
富士フィルムの技術と組み合わせれば新たな価値を生み出すとの判断からだ。新規事業に一から始めるのでは時間がかかりすぎる。
そこでM&Aなのである。シナジー効果を狙ってのことだ。(つづく)
※写真市内にある富士フィルム工場
Posted by Qさん 大魔人 at 15:58│Comments(0)