2005年01月24日

陽の楽屋

20050108.jpg

新潟県高柳町に環状集落という田を囲むように農家がある
集落がある。豪雪地帯ということもあって雪降ろしに邪魔
になる垣根はなく、いきなり庭先はいきなり田んぼだ。
そこに「陽の楽屋」と名付けられた集会施設がある。
設計は今人気の隈研吾だ。そう浜名湖花博の大量の竹を
吊るした独創的なゲートを設計した建築家だ。

この集会室の設計の依頼があった時、茅葺を提案したところ、
賛成反対は半々だった。何回となく続いた地元説明会の間、
茅葺を守ることに熱意のある町職員が皆を説得した。
その上、ガラスやサッシを殆ど使わず、和紙を使った。
「昔は、ガラスではなく障子だった。そのような紙を使った
ライフスタイルにしたい」と提案。この和紙は、門出和紙と
いってこの高柳町の手漉きの和紙で、地元のカリスマ職人が
つくった。すぐに破れてしまうのではと心配されたが、いろいろ
と調べると、こんにゃくと柿渋を塗ると強くなるとわかった。
床にも和紙が貼られ、座布団までも和紙で作られていた。
建物の際まで水田があり、この水田の中に建物がふわっと浮かぶ
ような景観にしようとした、と隈研吾が「美しい日本2004」
フォーラムで語った。ここに登場する役場職員が観光カリスマ
にも選ばれた春日俊雄氏であり、和紙のカリスマ職人は清酒
「久保田」ラベルの作者小林康生氏だ。そしてわずか2500人
のムラになぜ隈研吾が、それは江戸川大学の鈴木輝隆氏のネット
ワークによるもの。

「陽の楽屋」に身を置くと、周りと一体化しつつその存在が
放つその地に対する敬意を感じずにはいられない。
人の行為が伴ってできる景観っていうのは地の思想であり
哲学の集合体と思うのだ。知性の感じられないようなものを
地上に出現させるのは、もう止めにしたいものだ。

※たまには、一級建築士らしことも書きました。
都市計画課で地区計画を担当していたこともありました。

写真は「陽の楽屋」の中から外を見ています。


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Posted by Qさん 大魔人 at 11:16│Comments(0)大魔神の旅
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