2006年01月30日

天まであがれロケ(その2)

いよいよ鶴見町の我が家での撮影開始、遅い夕食を終え鶴見に向かう。

映画制作の専用車、マイクロバスに、何台かの車。煌々とした照明、

ものものしい雰囲気が何やら通夜をイメージさせる。



かわいらしい男の子が出てきた主人公の鈴木天馬君だ。今日の撮影が

終わったようだ、一足遅かった、残念。ま、明日があるさと気を取り

直して家の中に入る。撮影機材でごった返し、監督はじめスタッフが

明日の打ち合わせに余念がない。役者は上がったが、スタッフの夜は

まだ続いている。

居間に目をやるとサッカーの武田選手の遺影がある。そう亡くなった

天馬の父役だ。

***夢。砂漠のような場所。辺りには何も見えない。鈴木天馬が凧

をあげている。後ろを振り向くと、父の良介がそれを見守るように立

っている。良介に向かって手を振る天馬。良介も、手を振り返す。

安心して、凧あげに夢中になる天馬。後ろから呼ばれた気がして振り

返ると、そこには誰もいない。不安になって「お父さん!」と、呼ん

でも返事がない。良介がいた所まで、天馬が走ってくると、そこには

1辺が6メートルはあろうかという凧が、ただ横たわっている。

その時、物凄い突風が吹く。大凧がふわりと浮き上がる。天馬が押さ

えようとするのを吹き飛ばして、空に舞い上がっていく大凧。何故だ

か天馬は、その凧に「お父さん!」と叫び、凧を引き戻そうと必死で

糸にぶら下がる。天馬の身体が引きずられそうになるところで目が覚

める。従姉の溝口楓が天馬の身体を引きずりながら起こしているとこ

ろだった。***

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寝室が楓の部屋に、つなぎの四畳半和室が天馬の部屋に変っていた。

部屋の中の小物類は近所に住む職場同僚の露木家のものだ。初日ロケ

に使った自転車4台も鶴見町の子ども達のものを露木さんが集めてく

れた。そ、そして撮影のスタッフや役者の控え室が欲しいと、隣の

伊藤さん宅に昨晩スタッフが頼み込んで使われていた。鈴木さんの

軽トラも明日は出動とのこと。鶴見町の方々にもフィルムコミッション

に巻き込んでしまい後ろめたさを感じている。

映画には人は出てないけど愛用のモノが出ていることに喜んでいただけ

ると救われる。


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***天馬は幼い頃、父さんと一緒に、父さんの作った凧をあげたこと

があった。幼い天馬にはものすごく大きいものに見えたのだ。そんな父

さんの自慢話を少し大げさに披露したところ、逆に「天馬の父さんは嘘

つきだ。」と言われてしまったのだった。
 家に帰った天馬は、まだ整理し終えていない引越しの荷物の中から、父良

介が作った凧を探し出す。凧は、浜松まつりの凧を小さくしたような凧で、

表面には天馬の名前の由来である背中に翼を持った馬が天空に飛び上がる

絵が描いてある、手作りの凧だった。***

 天馬の机にはその凧が置かれていた。(つづく)

 溝口久 q-mizo(アットマーク)tranzas.ne.jp

しずおかグリーンツーリズム研究所  主任研究員
  浜名湖えんため(環浜名湖の観光振興を考える会)顧問
http://mq.blog14.fc2.com/ (大魔人の旅ほか)


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Posted by Qさん 大魔人 at 16:56│Comments(0)お知らせ・イベント
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