2008年06月24日
旅館建替え相談
静岡県内にあるホテルを建替える相談を受けた。
旅館建築のコンサルタントにこれまたその道で有名な設計事務所による
基本設計の提案がすでにあったが、借り入れを起こし返済するには少々
荷が重い計画だった。
人づてに「場所は漁港のそば、今の計画は建設費もさることながら、
今はやりの露天風呂つき部屋で、どこに建ててもいい焼津の地域性
が感じられない建物だ。
Qさん、由布院の宿に見られるようなつくりかたはできないものだろうか?
相談に乗ってあげて欲しい」とのリクエストがあった。
これは面白そうだ。早速、そのホテルに行ってみることにした。
鉄筋コンクリート4階建て、平屋の客室と風呂を増築したものだった。
昭和40年代の建物で、デザインが当時を髣髴させていた。天井が低い、
部屋が狭い、増築部と本館部のつなげ方が悪く宿の舞台裏と客動線が
交錯していた。
確かにこのままでは客足は遠のくばかりだ。さて、どうしよう?
今流行のリノベーションでフレームを残して大改造する手はあるが、
集合住宅に住む人が増え、癒しを求めに来ているお客に
鉄筋コンクリートのホテルよりも木造低層の方がいいし、その方が
運転費も少なくて済むだろう。鉄筋コンクリートとはさらばして、
緑を多く入れ込み、木々の間から海が見え、できれば離れ形式としたい。
これを会長、社長、常務にも共感してもらいたいが、個々に考えがあるだろう。
考えていることを、質問形式で引き出し、それを模造紙にマジックで書き出していった。 言葉は違うが、根本的には考えは共通点が多い、そのことを分からせるためとさりげ なく自分の考えを入れていくには、よい方法だと思う。 言葉の空中戦は時間ばかりがかかる上、理解がそれぞれ違ったまま議論が 閉じてしまうことがある。これを目の前に書き表すことの意味は大きい。 部屋数15程度、地元宴会、食事処の充実、海を見せたい、緑を多くオアシス のような存在に、地域にためのミニ農産物売り場、部屋つき風呂の代わりに 貸し切り露天風呂、和室でもベッド仕様、充実した洗面トイレ、 3億円以下の建設費など、皆が共感したキーワードが出揃った。 で、イメージは由布院玉の湯だ。百聞は一見にしかず、一度由布院に行こうではないか。 (つづく) ※写真は由布院玉の湯
Posted by Qさん 大魔人 at 06:56