2009年04月02日
伊豆の旅(その2)
合流後は、伊東線「伊豆多賀駅」で下車し、高専の先輩の富岡さんが
経営する旅館「ニューとみよし」に向かった。
玄関には今回の運転手を頼んだ静岡県賀茂健康福祉センターで生活保護
を担当している石田君が既に待っていた。
彼は20代だ、自分の父親並のおじさん4人の伊豆の旅に同行してくれるの
だ。ありがたい限りである。
静岡県では富士宮やきそば、静岡おでん、浜松餃子、袋井たまごふわふわ、
磐田おもろ、裾野水餃子などB級ご当地グルメが盛んな地である。
ここ熱海網代では「いかめんち」が評判になってきている。ここわずか
一年のことだ。麒麟麦酒ともタイアップして売り出し方がうまい。
イカはじめ魚のすり身を混ぜ合わせ揚げたもので、昔はおやつ代わりに
食していたようだ。
ここを伺うには、イカメンチをご馳走になることともう一つの目的があった。
市の行財政改革に民間人を活用と考えた市長から白羽の矢があったのが、
ここの主の富岡さんだ。その主の話を聞くことを楽しみにしていた。
氏は富士通でシステムエンジニアを勤め、コンビニの店舗システムを
次々と立上げた経験から流通にも明るい。漁業と民宿の兼業の家に
育った氏に転機が訪れた。
「帰ってきて宿泊業をやりなさい」と母の声、技術者として生きようと、
決めていたのに、親には逆らえず、良いことあるのかと思い、結婚を契機に戻ってきた。
「保証人は全部引き受けるけど、自分の力でやりなさい」と、いきなり土地4千万
と建物6千万で、1億円の借金不慣れで何もわかっていない夫婦の経営で、宿はスタートした。
世は右肩上がりの時代、3人の子を育てながら捻りはちまきで、13年間で完済。
ほっとしたのもつかの間、今度は近所のレストランとホテルを買ってくれと、
ノンバンクに追い立てられている知人に泣いて頼まれた。
銀行からも「君ならやれる!」と、おだてられ、首のすげ替えじゃないかと
思いつつも今度は4億以上の借金を背負うことになった。
さすがのおふくろにも反対され、妻には別れたいと言われた。
そんな空気になればなるほど頑張ってみたい、俺ならできる!
妙な自信のせいで地獄を見ることになった。(つづく)
※写真は「いかめんち」
「虫庭の宿」シリーズはまだかとの催促を頂戴しています。しばしお待ちください。
Posted by Qさん 大魔人 at 00:14