2008年06月29日
由布院の旅(その3)
無量塔では、時と言う価値をつけた骨太の骨格に、ディテールにライトや堀口捨巳、
吉田五十八のデザインを入れ建築を成立させている。
これにカッシーナや李朝家具、バカラのアンティークやルオーの絵画といった新旧和洋
の家具や軸、絵画、彫刻、焼き物が建物と調和するように配され、
落ち着きのある心地よい空間を描き出している。
無量塔のそばには、私が由布院にいた頃あった由布院空想の森美術館が、
今では同じく藤林さんがプロデュースする「アルテジオ(artegio)」に建て代わっている。
氏曰く「美術館の夢想園の露天風呂版」を目指した。
この建物はミュージアム・レストラン・ショップからなるコンクリート打ちっ放しの複合施設である。
これが露天風呂を目指す?入館料600円は由布院NO.1の人気を誇る旅館夢想園の
露天風呂700円に相当するものであり、由布岳が臨める大露天風呂での心地良さに
匹敵する知的心地よさの場を提供しようと言うのが、ここのコンセプトだ。
マティス、クレー、ジョン・ケージ、マン・レイなど美術に音楽、静かなバー(BARMEZZO)
や絵・音楽の関連図書を揃えた読書室もある。
企画展や月一度は必ず開かれる由布院に移り住んでこられた小林道夫氏のチェンバロコンサート。
絵を見て音楽を聴きながらワイン片手に本を読む、こんなことができる場所はそうそう無い。
由布院の素材を使ったイタリアンダイニングに、そこで使われているお茶やドレッシング、
音楽をモチーフにした小物やバックなどを購入することができるショップもある。
今は亡き福岡県椎田町の田原町長が10年ほど前に「由布院は大字東京ムラだ」と私に言われたことを思い出す。
有楽町にある大分県のアンテナショップ「坐来」も洋食レストラン「方寸」も藤林さんが手がけている。
大分自動車道の別府サービスエリアも。
亀の井別荘の中谷健太郎さんに惹かれて藤林さんが日田から来て25年、由布院センスが
連鎖反応を起こし輝きを増しているのを感じる。
でも、最後に健太郎さんの独り言「あんまり、地球に負担を掛けちゃいけないな」。(つづく)
※写真はアルテジオ内部、山荘無量塔のバー
Posted by Qさん 大魔人 at 15:59