2008年11月27日
木札をめぐる水窪の協働物語(その1)
NPO法人魅惑的倶楽部(エキゾチッククラブ)代表の鈴木さんから、
メールが入った。「今年度、国土交通省の「新たな公」によるコミュ
ニティ創生支援モデル事業に採択され、みさくぼ大好き応援団の仕組
みづくり事業に取り組んでいます。
これは、天竜川上下流域の市民や都市住民・NPOが主体となって、
浜松市天竜区水窪町(みさくぼちょう)をモデルに、交流を通じ地域を
知り、“森林環境”の保全・管理ついて、共に支えあう「仕組みづくり」
を行うというものです。今回、天竜川・水窪の自然や環境を学ぶ体験交流
のモニターツアーを募集しています。」
この「モニター」となって意見を聞かせてくれというのだ。
この仕組みの材料が「竜水護森木札」である。間伐材を輪切りにして、
これを木札として願い事を書いてもらい街なかに、神社でよく目にする
絵馬を奉納してあるスタイルで掲示する。
その後、水窪町にある山住神社に持って行き、実際に奉納するというものだ。
これには、巧みな協働の仕組みがある。
同NPO法人と、水窪の町おこしグループ「ここほれワンワン塾」と
NPO法人地域づくりサポートネットで、みさくぼ大好き応援団推進協議会
を組織し、実施に当たっている。
ここに市民が参加する。まずは木札のもとになる木は水窪の山にある桧の
間伐材で、それを直径10〜15cmの丸太を厚さ1cm程に輪切りにする。
ここまではワンワン塾のメンバーの仕事だ。
これを木札の成りに整えなくてはならない。紙やすりを使い切り口のバリ
を取り表面を磨く。1500枚程度作る。紙やすりだけでは手に負えないから
木工機械も用意されている。このツアーの一番の目的は、この木札の制作にある。
1泊2日の2日目に、4時間の作業が待っていた。どうりで二日目のスジュールの
記載が少ないはずだ。この1500枚の木札を持ち帰り、焼印を打ち、吊り下げるため
に穴を開け、紐を通す。この作業は授産所の仕事になる。
完成した木札を売らなくてはならない。買われた木札には個人の想いが書かれ、
一時街なかに飾られる。この作業は魅惑的倶楽部の仕事だ。売価300円、これだけの
手間がかかって300円は安い、安過ぎる。
この1枚当り300円のお金の内、100円はワンワン塾へ、消耗品や山の維持にかかる
費用の一部に当てられる。100円は授産所に制作費として渡され、残りの100円は
NPOへではなく、浜松市森林環境基金へといく仕組みになっている。
NPOは全くの持ち出しになるから、ここに補助金を求めることにしている。
補助の先は今年は国交省であり、昨年は浜松市だった。
水窪も障害者もNPOも経済的に満たされる規模のものではないけど、都市市民の
環境啓発、森林への関心アップ、天竜川の上流域と下流域の交流と理解といった
知的満足度は高いと思う。(つづく)
Posted by Qさん 大魔人 at 23:02