2009年11月08日

西日本新聞連載(虫庭の宿第98回)


今回は焼酎のお話です。
平成8年4月4日由布院で初めての朝を迎えた。
静岡を発つ時には桜はすでに終り、春めいていた。
ところが、由布院のその朝はキリッと冷えていた。
なんと路面はうっすら雪化粧しているではないか。
桜はまだ蕾だった。
当時、駅前にあった由布院観光総合事務所に緊張した面持ちで向かった。

中谷健太郎由布院温泉観光協会長と富永等由布院温泉旅館組合長が、
早速に事務所に来られ、「由布院観光総合事務所事務局長」を命じるの辞令を手渡してくれた。
それから、湯布院町の佐藤町長、商工観光課古長課長、佐藤商工会長、衛藤農協組合長

と挨拶回りをした。
その夜はもちろん歓迎会、初日から3次会まで、帰宅したのは0時を廻っていた。

歓迎会に焼酎が出てきた。迷わず「焼酎お湯割りに梅干入れて」と言ったら
皆に怪訝な顔をされた。乙類の麦焼酎に梅干など入れないのだ、カボスをちょいと絞ることはあってもね。

「YUFUIN」焼酎があった、二階堂ではなく三和酒類につくっていただいていたと記憶している。
これが1本売れると観光協会にお金がいくらか入る仕組みになっている。何ケースかの無料提供もある。
「YUFUIN」というブランドがあるからこそ、成せることである。
このブランドを守るために「売り上げの一部は由布院の環境保全のために活かしております。」
と表示して、フジジンから「牛喰い絶叫大会のたれ」も販売した。
当時はCSI(企業の社会貢献活動)というのは、まだまだの時代だった。

こうした交渉は面白かった。「WIN−WIN」の関係づくりの醍醐味を由布院では味わった。
他にも電動レンタサイクルの導入、「トイレ貸します事業」がそうだ。
いずれも予算ゼロで成立したものだった。

※写真は駅前から移転した健康温泉館に移転した観光総合事務所
平成9年11月移転 すごーく想いが詰まっています。
観光協会長の中谷健太郎さんと亀の井別荘にて




Posted by Qさん 大魔人 at 23:49

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